No news is Good News.
November 09, 2015

サイモンとアイロン

先日のはなし。

別館のリビングで枕カバーにアイロンをかけていた時、「終わったら僕にもアイロン貸して」と声をかけてきたゲストがいました。彼はフィンランドから来た20代前半くらいの男の子3人組のうちのひとりです。何にアイロンを使うのだろうと見ていたら、1枚のシャツに丁寧にアイロンをかけはじめました。

シャツを普段着て、自分でアイロンをかける方ならわかると思いますが、洗濯の度にアイロンをすることって結構手間なんですよね。綺麗に仕上げるためには襟、肩、袖、身ごろとうまくシワを伸ばす必要がありますし、時間もかかります。

旅先できちんとアイロンをかけるなんてすごいなあと感心して褒めたら、それは父からの教えなんだと彼は言いました。お父さんから、たとえ旅先でもきちんとシャツを着るよう教わったとのことです。そしておそらくはアイロンのかけ方も。

それってオールドスタイルかもしれないけれど、僕はそれが気に入っているんだと答える彼。

僕も普段シャツを着ることが好きなので、共感とともにこの北国からやってきた若者はどういった人なんだろうと興味がわき、普段どんな音楽を聴いているの?と尋ねてみました。人となりの手がかりを得るために、好きな音楽の話しをするのは意外に楽しく有効で、予期せぬ共通の好みなど会話が弾むこともあるからです。生まれも育った環境も違う者同士がよくする会話の一つです。

僕の質問に彼は少し考えてからこう言いました。「あんまり激しい音楽やクラブミュージックは好みじゃなくて、例えばこんな音楽を聴いて僕は育ったんだよ」と、居間に置いてあるレコードコレクションから1枚を抜き出してくれました。「多分まわりとはちょっと変わった好みかもしれないけれど、こういうのが好きなんだ」と答える彼。

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京都は今日も雨降りです。静かな別館の受付に座り、BGMにサイモン・アンド・ガーファンクルを流しながら、遠いフィンランドのことと、この机でアイロンをかける彼の姿を思い出しました。彼を見習い今日はシャツを着て、いつもより少しだけ姿勢を正して受付に座っています。

 
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